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奈岐編 注釈九

9-1-1 9-1-2
状況
本戦第一戦。候補者及び、松籟会、学園関係者が集まる。
頼継、昌次郎、学園長、神住の祖父、真琴の叔母も同席。末来の姿は無い。
松籟会の者達に啖呵を切る奈岐、真琴に対処させる叔母、
割って入る昌次郎、退く真琴。神住の祖父に伺いを立てる頼継。
儀式の再開を促す神住の祖父。鼎の元に戻る奈岐。
力を解放する鼎。先の一件(松籟会を挑発)で鼎達を心配する縁子。
(鼎、奈岐)対(縁子、恵)、鼎達の勝利。残りの試合の後、部屋へ戻る二人
今後について話す二人。
気を張る奈岐、包み込む鼎。
しばしの安息。
勝利を祝いに来る八弥子。
二人を茶化す。危険な状況にある
鼎と奈岐を勇気付ける
時間
三十八日目・放課後
三十八日目・夜
場所
姫渡り海岸 寮・奈岐の部屋
設定
・本戦では、一対の御魂を体現する必要がある (儀式に直結する為)
・見鬼の有効射程はかなり遠くまで及ぶ
(巫女候補を挟んで遠く離れた観戦者の魂を見た)
伏線(大)
伏線(小) f13-8, 八弥子の力、境遇

“戦うことに対して、奈岐は
八弥子さんに気を遣ってるのは、
前にも聞いたことがある。

その理由は秘密というのが、
あらためて気になった。

奈岐「この一件が片付けば、
話せる時も来る」

鼎「…………」

私を視ていたのか、
奈岐がどこか寂しげに微笑む。”
テキスト
推論九, 本戦の規則と、末来さんの不在

“次に、一人でも戦えた模擬戦とは異なり、
必ず一対の御魂を体現する必要があるということ。

これは儀式に直結することだから必須事項だろう。

この場に末来さんがいないのは、今回は一対としての相手に
選ばれていないから……と、これは私の推測。”

T28-1, 力の増大

⇒“燃えろッ!”と口にしなくても、霊石の力を引き出している辺り、
鼎が力の扱いに慣れてきている事が解かる


F7-6, 松籟会の危険性

縁子“「この織戸伏に生きる者として、許されない
ということの意味、それを理解しての行動ですか?」

鼎「毎日が危険になるわけだよね。 それは分かってる」

絶対的な権力を持つ松籟会に対して、あの宣戦布告だ。

これからの毎日を穏やかに過ごせる方が不思議かもしれない。”

T14-2, 鼎の人柄

“力の解除は敗北を意味する。三輪さんは自ら敗北を選択した?

縁子「私に与えられた力は、剣を使うことのみ――勘違いは止めて下さい」

鼎「そういうことにしておくよ。でも、ありがとう」

縁子「…………」

何も言わず目を伏せた三輪さんが踵を返す。”
T1-6-8, 鼎の判断力

“ちなみに、第二試合は八弥子さんと
中村さんの勝利に終わった。

それぞれ戦闘を務めたのは、
中村さんと遠山先輩だ。

常時、攻勢を維持する中村さんと、
支援状態でも攻撃に参加していく
八弥子さん。

防戦を強いられる遠山先輩の援護に
由布が回った時、力のバランスが崩れ
……敗北が決定した。

遠山先輩を守りたいと思った由布の
判断は間違ってなかったと思うけれど、
相手が悪かったとも思う。”
脚本
⇒縁子の態度が軟化している辺りにも、時間の流れと変化を感じ取る事が出来る
⇒相手を信じきる事が出来なければ、
真の意味で一対を体現する
事は出来ない
演技
演出
作画
補足






9-1-3 9-2-1
状況
本戦第二戦。(鼎、奈岐)対(神住、由布)、鼎達の勝利。
奈岐、加工した霊石による力の反動を受ける。
残りの試合は(八弥子、真琴)の圧勝。部屋に戻る二人
奈岐を気遣う鼎。信じてくれ、と奈岐。
深夜に目を覚ます二人、地震が発生。

(昌次郎たち修験者による穢れの掃討が続く、
末来、祠にて封印の礎となる)

⇒これを鼎と奈岐が知るのは少し後(
9-2-3 )
時間
三十九日目・昼 三十九日目・夕 ~ 深夜
場所

寮・奈岐の部屋 ~ 寮前 ~ 学園・正門前
設定
・後に解かるが、封印に綻びが生じていた
(鼎の存在を未来が感じ取った為)
伏線(大)
伏線(小)
テキスト
T27-3, 鼎への信頼

“遠山先輩が使う鎌には一度敗北した記憶があった。

今の私でも正面から挑んで敵う相手かどうかは……。

奈岐「いや、今の鼎なら対応出来る」

鼎「奈岐?」

奈岐「遠山が守りに入れば、必ず勝てる」

奈岐の言葉から確信めいたものを感じる。

何か策がある――そう考えた方がよさそうだ。”

T28-2, 力の増大

9-1-1同様、詠唱するまでも無く、力を発現させている鼎

T20-26, 奈岐への想い / 推論十, 神住の想い / T25-7, 変わる鼎

鼎“「遠山先輩、正直に答えて下さい。お爺さんから巫女について、
聞かされていることは、私達に教えてくれたことだけですか?」

神住「お爺様から……? 高遠さん、それはどういう意味ですか?」

鼎「そのままの意味です。 何か隠しているなら、答えて下さい」

「私と奈岐はもう全部知っています」

神住「…………」

遠山先輩は驚くように片眉をあげた後、細い顎を横へ振る。

「私が知ることは、あなた方に伝えたことが全てです。
巫女となり、その務めを果たすこと、それだけですわ」

遠山先輩が嘘をついている様子は無い。

それに何より……巫女の事実を知っていれば、
由布の身が危険に晒されることも分かっているはず。

遠山先輩なら――それを避ける。

誰かを想うことの強さを知った今なら、その確信が持てた。

鼎「答えてくれて、ありがとうございます――」”

T28-3, 力の増大 / T22-5, 鬼子の力

“刀身が熱をはらみ、赤い輝きを放つ。
そして、まるで焼き切るかのように大鎌の柄を切断していく。

ガシャンッ――と大きな音を立てて、
真っ二つに切り裂かれた大鎌が地面に落ちた。”

⇒幸魂での支援ですら、鼎の力は大きく増幅されている

“私は剣を振るい、遠山先輩へ切っ先を向けた。

これで終わり――その瞬間、刀身に衝撃が連続して走る。

鼎「なっ……由布!?」

由布「姉さまっ! 今の内に立て直して下さい!」

立て続けに銃声が響き、私は回避行動を余議なくされる。

幸魂からの援護はルールの範囲内――
それに由布の武器は遠距離武器だ。

このままだと、仕切り直しに持ちこまれてしまう。

奈岐「風間、邪魔をするなっ!!」

奈岐の怒声とともに冷気が立ち上がり、
氷の壁が作りだれていく。

数秒も経たずに構築された高さ二メートル近い障壁が
由布と遠山先輩を隔てる。

由布「そんなっ……!」

奈岐が作り出した分厚い壁は由布の射撃を阻み、跳ね返す。”

⇒物量で押し切るタイプではなさそうな奈岐が、
由布の射撃を跳ね返す程の障壁を作り出す辺り、
相当に力を使っているのが解かる

T4-7, 鼎の優しさと強さと公平さ

由布“「姉様……ごめんなさい、私の力が足りないばかりに……」

神住「由布……いいのよ、あなたが悪いわけではないのですから」

どこか由布をあやすようにして、遠山先輩が抱きしめ返す。

すっかり二人だけの世界――
そんな二人を守ることが出来るんだと思うと少し嬉しい気がした。”

T28-4, 力の増大、反動

奈岐“「くっ……はぁっ、はぁっ……」

鼎「奈岐……?」

星霊石を片手に握ったまま、奈岐は額に大量の汗を滲ませていた。

奈岐「この程度の処理に、身体が……」

がくんと崩れるようにして、奈岐がその場に片膝をつく。

鼎「奈岐っ!?」

慌てて駆け寄ると、奈岐は私の手を握った。

奈岐「平気だ、少し力を使いすぎた……」

鼎「力を使いすぎたって……やっぱり、その星霊石が……」

奈岐「……私は平気だ。だが、周りはそう見えない可能性もある。
すぐに引き上げてくれないか」

心配もあるけど、奈岐の意図に気付き、私はそのまま手を引く。

「まさか、宗家である遠山を退けるとはな――
フッ、驚きで力が抜けてしまったではないか」

わざとらしく奈岐が周囲に言ってみせた。

でも、間近で見れば、それは嘘だとすぐに分かる。

握った手は震え、立っているのが精一杯――そんな様子だ。

櫻井「お二人とも、そろそろ次の試合を始めますよ」

鼎「あ、はい……奈岐?」

奈岐「平気だ」

そう言いながらも、私の手を握る力が強まる。

そんな奈岐の手を引きながら、巫女の列へ戻っていく。”

T28-5, 力の増大、反動
T20-27, 奈岐への想い / T21-21, 鼎への想い

“奈岐は少し疲れた様子でマントを脱ぐと、
椅子に腰かけた。

鼎「奈岐……本当にもう平気なの?」

奈岐「心配をかけたが、大丈夫だ。ただ――」

奈岐が星霊石を掲げ、その透明な石を覗き込む。

奈岐「自分の思考に、身体が追いつかないことも
あるだろう。それを思い知った程度だ」

鼎「程度って……それ、無茶してたってことだよね」

奈岐「やってみるまで、無茶だとは思わなかった。
だが、自身だけではどうにもならないな……」

奈岐は腕を下ろすと私に向かい直る。

「ただ……これが切り札になるのは確かだ」

「この状況下、松籟会の連中に圧倒的な勝利を
見せつけ、選択肢すら与えないこと――
それが今するべきことだ」

そのためなら、また無茶をするという意思表示に
聞こえ、私は頷くことが出来なかった。

今日の試合を思い返す限り、奈岐の力が無ければ、
勝利出来たかどうかは分からない。

でも……。

「鼎、無茶と無謀の違いはわきまえているつもりだ。
だから、そんなに心配しなくてもいい」

鼎「ね……奈岐、信じていいんだよね?」

奈岐「ああ、信じてくれ」

頷いた奈岐は私を元気付けるかのように
微笑んでくれる。

それでも、胸に残った一抹の不安が
消えることは無かった。”

T28-6, 力の増大 (技量の向上)

“奈岐「飛ぶぞ」

奈岐は手すりに飛び乗り、
そのままロビーにまで落下する。

すぐさま星霊石を輝かせ、冷気と共に着地していた。

奈岐が当たり前のようにやってみせたけど……。

ここから下りるの、私、初めて。

鼎「どうか着火しませんように」

勾玉を握り締め、僅かに火の粉を舞い上げると、
私もロビーへ向かって飛び降りる。

鼎「わわっ……!」

着地の寸前に大量の火の粉を吹き上げ、
衝撃を抑え込む。

奈岐「――――」

奈岐が腕を振るい、
すぐに冷気で火の粉を鎮めてくれる。”

F9-27, 巫女の真実

“この怖気立つような感覚は、
島に来てから何度も味わっていた。

ざらつくような、肌を突き刺すような冷たい空気――
それは誰にも声が届かない絶望の叫びだ。”

f3-11, 末来と鼎の関係/ f2-7, 勾玉の熱
F2-6, 鼎の出生と勾玉の秘密

“奈岐の駆け出す方向に、僅かな光が見えた。

すぐにその光は消えてしまったけど……
どこか胸を締め付けられるような感覚だけが残る。

鼎「勾玉が……?」

まるで呼応するかのように勾玉が熱を放っていた。

いったい何が起きてるの……?

まだ熱を感じる勾玉を握り締め、
光の見えた方向へ駆け出す。”

f3-12, 末来と鼎の関係 / T10-9, 親子関係

末来“「こうなることは分かっていた。 でも早すぎる」

頼継「そうかい? 僕には予定通りだ。 彼女がこの
島に来たんだ。例年通りに行くはずが無い」

末来「反応した……と言いたい?」

頼継「もしキミなら反応するだろう?
そういうものじゃないかな?」

末来「…………」

頼継「さて、片倉末来――
七年前の約束を果たしてもらおうかな」

末来「それは分かっている。
でも、もう一目だけでも、あの子に……」

頼継「そんな余裕は無いよ。今は血路を開いている
状況だ。キミが言う『一目だけ』のために、
何人が命を落とすと思う?」

末来「…………」

頼継「……あの場所までは僕も行こう。
昌次郎、護衛をお願い出来るかな?」

昌次郎「はっ、お任せ下さい」

頼継「さ、急ごう。朝が来るまでに
全てを終える必要がある」

末来「……分かった」

「…………」

「…………鼎」”
脚本
⇒数分前の回想は、あまり良いものではないと思うが、
使われたのはこの一度切りである為、さして問題ではないだろう
演技
演出 ⇒寮内放送において、エコーが掛かっていない。
単なる見落としと見なすか、ハイエンドなシステム
を備え付けているかのどちらか。これは前者だろう
作画
補足
“入れ替わりで、八弥子さんと中村さん、
恵と三輪さんの二組が学園長の前へ歩み出した。

真琴「――――」

鼎「……?」

今、中村さんが私と奈岐を見ていたような……?

首を傾げている間にも、次の試合が始まる。”

⇒鼎を手に掛ける算段を立てている真琴






9-2-2 9-2-3
状況
ただの地震だったと繰り返す葉子。
御花会メンバーにだけ、末来の行方が分からないと告知。
地震の話題で持ち切りな学生達。昼休み、八弥子と食事。
奈岐はどうしているか、と八弥子。
学園周辺を調べている、と鼎。
鼎、自分は学園内を調べていると言う。
しばしのろけ話。授業後、寮へ。
状況を確認する奈岐。
先日の一件、穢れの掃討が修験者によるものだと推論

時間
四十日目・朝 ~ 昼
四十日目・放課後
場所
寮前 ~ 学校・廊下 ~ カフェテリア
寮・奈岐の部屋
設定
・学園や寮は、森の奥に位置する
・昌次郎や黒服の男達が修験者である事が発覚
伏線(大)
伏線(小)
テキスト
T19-6, 八弥子と奈岐 / T17-13, 消え入るような鼎

八弥子“「んー、ヤヤも少し気になることあるけどさ……
もう、ナギっちは相変わらずだなあ」

鼎「相変わらず?」

おうむ返しに言った私は顔を傾ける。

八弥子「ほら、熱くなるとさ、周りが見えなくなってるじゃん」

八弥子さんの言う通り、奈岐はいつもそんな調子だけど……。

鼎「でも、それが何かあるんです?」

八弥子「カナカナ、本気で弱ってるね……
鈍くなっちゃってるよ?それとも自分のことだから?」

鼎「えっ?」

八弥子「顔に落ち込んでるって書いてあるよー?
もう、ナギっち、
そんなカナカナを置いて、熱くなっちゃってるんだから」

鼎「…………」

思わず唖然としてしまう。

ホントに八弥子さんは……私のことも、奈岐のことも、
よく見てくれている。

そんなことも改めて知った気がした。

「奈岐は……そういうところも可愛いんですよ」

八弥子「あ、カナカナがのろけた」

「ふふーっ、なら仕方ないなー。ガジー、
今日はのろけ話を聞きながら、ご飯だー!」

鼎「えええっ!? のろけるような話、そんなに無いですよっ」

八弥子「おー、でも少しはあるんだー」

元気よく八弥子さんが笑顔で身を乗り出してくる。

鼎「あ、あはは……」

これは……少しぐらい話さないと、逃してくれない雰囲気だ。

そんな状況に嘆息しつつも、内心では励ましてくれた
八弥子さんに感謝しないといけないな、と繰り返していた。”
T15-14, 奈岐の洞察
F11-8, 頼継の計画 / F12-6, 未来と末来の計画
推論二, 頼継の計画

推論十一, 頼継の計画、鼎の転入、奈岐への手助けに相関

奈岐“「この周辺の地図に印をつけたところが、
穢れと戦闘があったと思しき場所だ。
見ろ、あまりにも広域すぎる」

学園周辺から島の北側にかけて、
無数の印がつけられていた。

これを末来さんが一人でやったと考える方が難しい。

鼎「じゃあ……私達以外にも穢れを
祓った人がいるってこと」

奈岐「考えにくいことだが、その可能性は高いな」

巫女の力を使える者以外が、あの穢れを祓う……?

岩で押し潰しても死なない相手――
そもそも零体を相手にどうやって?

奈岐「鼎、松籟会が管理する祠へ理事長を
探しに行った時のことを覚えているか?」

鼎「うん、あの変な岩がある洞窟だよね?」

奈岐「その際、私は秘書の男と交戦している」

交戦……奈岐の短刀を掌底で砕いた
男性の顔が思い浮かぶ。

奈岐「奴は私と戦う前に、真言を唱えていた」

鼎「真言……?」

奈岐「マントラともいう。呪文のようなものだ。
唱えることで、願をかける――多くは仏教で聞かれる」

「あの男がただの秘書でないことは確かだが……
仏僧かといえば、それも違う気がした」

僧侶の人といえば、お寺で木魚を叩いている
イメージがある。そんな印象からは遥かに遠い。

奈岐「オン・ベイシラマンダヤ・センジキャ・ソワカ――
奴は真言をそう唱えた」

鼎「えっ、えっと?」

上手く聞き取れない言葉に目を白黒させる。

奈岐「これは毘沙門天への願をかける真言だが――
そこに魔を祓う意味を含めている」

鼎「魔を祓うって……」

奈岐「奴は僧侶ではない。だが、魔を祓うため、
毘沙門天へ願をかけるような者は限られている――
考えられるのは修験者だ」

「その者達は霊山で厳しい修行を行い、
霊験あらたかな力を得るという」

「鬼を調伏したという逸話を聞いて以来、いくつかの
文献を読んで記憶していた――本土で見鬼の業を
持つのも、その者達だ」

聞き慣れない単語にまばたきを繰り返している私に対し、
奈岐は肩をすくめてみせた。

「つまりは穢れを祓う力を持っている
可能性が高いと言うということだ」

鼎「でも……あの人が一人でこれを?」

私はノートに書かれた無数の印を指さす。

奈岐「いや、奴の他にも何人か黒服の男達がいた。
その男達が手分けして祓ったのだろう」

「穢れが霊体であり、魂だけの存在であることを
知っていれば、修験者達なら祓うことは可能だと思える」

鼎「…………」

昨晩に見た血の痕も、その人達のもの
だったのかもしれない。

この印にあるだけ――少なく見ても二十箇所近くの
ところで戦闘が行われた――地震があってすぐに?

鼎「まるで……地震が起きて、
穢れが現われることを知ってたみたい」

奈岐「ああ、知っていただろうな。
だから事前に待機していた」

鼎「そんなことが分かる人って……」

奈岐は机の上に置いてあった星霊石を手に取って頷く。

奈岐「諏訪頼継――奴くらいだ」

「あの男、鬼となって……いったい何と戦っている?」

あの人は巫女のことも地震のことも全部知っていた。

この島で起きている現象、その全てを知っているんじゃ
ないかとも思えてしまう。

思い返せば、私の転入の時だって……
そうだ、手を回していた。

無数の点と点が線で繋がりそうになる。

でも、あの人の目的が分からず、答えは見えないままだ。

「いずれにしても、次の試合で巫女が決まる。
私達が巫女になれば、奴から接触もあるだろう」

「あの男も……島の因習について思う所が
あるようだからな」

松籟会に身を置きながら、奈岐に手を貸したこと、
私を学園に転入許可させたこと――全部、
この島の行く末に繋がる。

あと少しで何かが分かる……でも、
本当にそれは巫女になれば分かることなのだろうか?

疑問はあるけど、そう信じて進むしか
選択肢は無い気がした。”
脚本
“また事実が嘘で塗り固められていく――
そんな光景を見ているかのようだった。”

⇒現実における、震災時の政権と某企業の対応を思わせる

⇒この場面で八弥子が二人にとって、
どれほど大切な存在かを改めて捉え直すことで、
次の真琴殺害未遂事件(
9-2-5)が活きる事になる

⇒二人の事を見守って、支えてくれる八弥子の存在は大きい
⇒聞き慣れない言葉に戸惑う鼎を見て、
読み手は安心を覚える。
(2-2-1-4 / 3-2-4 脚本)
演技
演出
作画
補足






9-2-4 9-2-5
状況
学園と松籟会から緊急の知らせが届く。
明後日に行う予定の試合を、本日の午後に行う、と。
現状を整理する二人。末来の行方と厄災について
本戦第三戦。
力の交信を行う中で、奈岐の記憶が流れ込む鼎。
鼎の命を狙う真琴、阻止する奈岐、
割って入った八弥子を刺してしまう
時間
四十一日目・朝 ~
四十一日目・昼
場所
寮・奈岐の部屋

設定
・宗家同士の試合の場合、家柄が上の方に勝たせる
・幸魂の状態ですら、真琴の大剣を切断する程、
奈岐の力は引き出されている
伏線(大)
伏線(小)
テキスト
T15-15, 奈岐の洞察 / 推論十二, 末来と祠の封印について
F9-27, 巫女の真実 / f12-6, 末来の真実
T1-32, 鼎の強い意志、母への想い / H7-2, 候補外の末来

奈岐“「巫女の決定を急いでいるな……どういうつもりだ?」

鼎「地震と穢れのこと、無関係じゃなさそうだね」

それに末来さんはまだ戻っていない。

出現した穢れを祓うために出て行ったのだとしたら、
修験者の人達がほとんど祓ってくれたはずなのに。

奈岐「巫女の決定を急ぐ理由、末来がまだ戻らない理由……」

奈岐が腕を組んだまま呟き、思考を展開させていく。

「巫女は贄となり、穢れとなる。厄災を引き起こさぬための贄だ。
しかし、その具体的な厄災とは何だ? よくある天災か?」

「もし……あの地震が厄災の予兆だとすれば、松籟会が贄を
急ぐ必要も分かる。おそらく末来が消えた理由も推測できる」

鼎「待って、奈岐、ちょっとストップ」

頭をフル回転させているところ、声をかけるのは躊躇われたけど、
どうしても気になってしまう。

「末来さんが消えた理由って……何?」

奈岐「考えられるのは贄の代用だ。
正式な巫女が選ばれるまでの間、
島に降りかかる厄災を止める必要がある」

鼎「贄って……そんな……」

奈岐「末来をわざと一対から外し、待機させたのも、
この事態を想定した上でのことかもしれない」

じゃあ、末来さんは……今頃……。

「いや、地震直後の末来の行動を推測する限り、
本人の希望でそうしていた可能性が高いか」

鼎「末来さんが望んで……?」

奈岐「地震直後、あれだけ早く寮を抜け出すことが出来たのは、
自分の意志があってのことだろう」

「末来も、この可能性があることを最初から知っていた」

鼎「…………」

贄のこと、穢れのこと――末来さんが巫女候補だとしても、
色んなことを知りすぎている

それに――。

(以下、回想
7-3-1)

末来「彼女は稀代の巫女だった。全ての穢れを祓い、
この島を呪縛から解き放とうとした――でも、失敗してしまった」

「ボクを……助けてしまったせいで、失敗したんだ」

鼎「末来さんを……?」

末来「あの場所には……穢れを生み出す危険なものがある。
ボクを助けるために、彼女はその封印を解いた」

「だから失敗した。それが一度目――そして、二度目。
七年前、彼女はボクの代わりに封印を施しに行った」

(回想終わり)

末来さんはお母さんが巫女の時に助けられたと言っていた。

それは七年よりも、もっと昔の話だ。

末来さんを助けるために、お母さんは封印を解いた。

そして、七年前、末来さんの代わりに
お母さんが封印を施しに行った。

鼎「…………」

逆から考えてみよう――末来さんは、穢れを生み出す
危険なものを封印していたんじゃないだろうか?

でも、お母さんが末来さんを助けるために、封印を解いてしまう。
だから、島の呪縛を断ち切ることに失敗した。

島にとって、その封印は欠かせないもの――
七年前、お母さんは私に望みを託し、末来さんの代わりとなる。

末来さんが何者かは分からないけれど、早急に贄が必要になった
今の状態をかえりみると……考えられる状況は一つしかない。

「末来さんは封印に向かったんだ。 それはきっと封印の力が
弱まったから。 贄がすぐに必要なのも、それが理由のはず」

腕を組んだまま、私の考えを覗いていた奈岐がふむと唸った。

奈岐「何を封印しているのか、そして封印が弱まった理由。
欠けたパズルピースはあと少しだ」

「鼎の話しだと、末来は封印を施していたところを救われている。
今回も同じように、鼎の母や末来を救うことも可能なはずだ」

鼎「そのためには……巫女になって、贄が捧げられる場所に
行くことが絶対条件になる」

巫女になって、真実を見極めるんだ――
私がこの島に着いた翌日、
末来さんから言われた言葉が頭を過る。

巫女になれば何か分かるのだろうか、という疑問が消えていく。

やっぱり全ての鍵は――巫女にあるんだ。

奈岐「試合が今日ならば、覚悟する必要がある」

鼎「相手は中村さんと八弥子さんだね……」

奈岐「ああ、切り札を使うべき相手だ」

奈岐は星霊石を取り出し、私に一度頷いた。

真実へ向かう私達の足先はきっと正しい。

でも、私達はそのことだけに囚われすぎていた。”

⇒小説的メタ視点



T15-16, 奈岐の洞察

奈岐“「茶番だな……遠山と三輪が刃を交える
ならば、三輪が負けなくてはならない」

鼎「それって、宗家の決め事?」

奈岐「暗黙の、な――それが分かった上で試合を
する。巫女選抜を急いでいるわりには悠長なことだ」

呆れたように奈岐が息を吐き出し、
松籟会の人達を睨む。

同じく――松籟会の人達の中でも、つまらなそうに、
理事長が秘書に何か話かけていた。

試合は一分足らずで決着を迎える。

奈岐が言った通り、遠山先輩の圧勝だった。

大鎌に武器を絡め取られた三輪さんが早々に降伏。
出来レースとはいえ、あまりに呆気ない幕切れである。”

T20-27, 奈岐への想い / T23-8, 奈岐への信頼

奈岐“「鼎、遠山の時と同じだ。中村を守りに誘い込め」

鼎「それ、また無茶な力を使うつもり?」

奈岐「……中村の奴は命を賭けて勝負に来ている。
対抗出来る手段は少ない」

鼎「…………」

ここで負けるわけにはいかない。
そんな想いが奈岐から伝わる。

迷うな、私……今まで隠してきた切り札を使う時なんだ。

だから、今は――。

鼎「奈岐、信じてるから」

奈岐「ああ、信じていてくれ。 それが力になる」”

T28-7, 力の増大 / T22-6, 鬼子の力
T21-22, 鼎への想い
T24-12, 変わる奈岐 /
T20-28, 奈岐への想い
f17-4, 水蒸気爆発 / f13-9, 八弥子の力、境遇
F2-7, 鼎の出生と勾玉の秘密

“奈岐の星霊石に片手で触れ、力の交信を行う。

奈岐「――全力で行く」

力の解放、同時に吹き荒ぶ冷気に目を疑った。

鼎「っ……これは……!?」

今までとは比較にならないほどの力が、
全てを凍てつかせる。

草木だけでなく、炎を纏った私の巫女装束ですら、
奈岐の氷に抑え込まれ、霜が付着していく。

真琴「何だ、あれは……」

八弥子「ナギっち……?」

感じたことのない力に、中村さんと八弥子さんが
声をあげていた。

櫻井「これほどの力……理事長、
まさか星霊石を……!」

驚きを隠せない学園長の視線が理事長を捉える。

頼継「鬼に生まれた者は、
最初からこうするべきだったんだよ」

「……人と同じように生きることなんて
出来ないんだからさ」

その言葉は諦めではなく、その場にいる
全員への警告に聞こえた。

鼎「奈岐……」

剣の柄を握り、力を籠めても炎が発現しない。

それほどまでに奈岐の冷気が全てを制圧していた。

「っ……!」

さらなる力の波動を感じて、
私は反射的に守りを固める。

衝撃が駆け抜け、絶対零度の世界が
作り上げられていく。

守りを固めた私の剣が熱を失い、
凍り付いてしまっている。

奈岐「くっ……!」

冷気を解放した奈岐の顔が険しく歪む。

想定以上の力なのか、それともまだ
複雑な思考を行っているのか。

その表情から読み取れるのは、既に限界を
超えているということぐらいだった。

その直後、唐突に私へ力が流れ込んでくる。

今までにないほど力が自然と身体に炎を宿していく。

それと同時に――。

鼎「っ……?」

視界が暗転して、平行感覚を失った足がふらついた。

目を凝すと、闇の中、僅かに光が
差し込んでいることに気付く。

「あれは……?」

(以下、奈岐の視点での回想
5-2-1を、鼎が見る)

真琴「消えろ」

中村さんに踏みつけられ、
息を詰まらせる私の姿があった。

これって……過去の光景?

でも、私の視点じゃない。私はあそこにいるはずだ。

考えている間にも、中村さんの右手に
宿す蒼い炎が解き放たれる。

鼎「――ッ!?」

倒れている私が両手を交差させる。

真琴「これはっ!?」

ドンッという衝撃が周囲に駆け抜けていく。

砂が飛び散り、中村さんの身体が中空に投げ出される。

がたがたと視点が動き、砂浜を駆けていく。

向かっている先は砂浜に倒れたままの私だった。

奈岐「鼎っ! 無事か!?」

頭の中で奈岐の声が響いている。

奈岐「鼎っ! おい、返事をしてくれ!」

意識を失っている私の顔が間近で映し出された。

ようやくこれが奈岐の記憶だってことが分かる。

それと同時に恐ろしいほどの冷気を感じた。

奈岐「鼎っ……! 頼む、鼎っ……
私を独りにするなっ!」

八弥子「ナギっち、大丈夫! 落ち着いて、
カナは気を失ってるだけで」

駆けつけた八弥子さんが私を見て、
奈岐に教えてくれるけど。

奈岐「くっ……!」

八弥子「ナギっち……?」

奈岐「気を失っている――『だけ』だと?
フッ、そうか、お前達はどうせ……そんな考えか……」

冷気が集中して奈岐の片手に短刀が作り出されていく。

「中村真琴……
鼎の命を狙ったのは、これで二度目……」

「三度目があると思うな……」

再び視界が動き出す。

先ほどよりも、もっと速く――砂浜で倒れる中村さんへ
目掛けて、一直線に向かっていく。

八弥子「ナギっち! それはダメっ!!」

神住「向山先輩っ!?」

中村さんの容態を見ていた遠山先輩が
驚きに声をあげる。

八弥子「ナギっち!! ダメっ! それだけはダメっ!!」

視界が大きく揺れて、地面に引き寄せられ、
砂が飛び散った。

奈岐の足が映し出され、そこには八弥子さんが
放った鎖ががっしりと絡みついている。

奈岐「邪魔をするなっ!!」

八弥子「そんな気持ちで誰かを傷つけたら、
歯止めがきかなくなるっ!」

「ナギっちは優しいから!
心が穢れに持って行かれちゃうっ!」

奈岐「ふざけるなっ!! お前に私の何が分かるっ!!」

氷の短刀が八弥子さんの鎖を断ち切ろうと
振り下ろされるが、ギィンッと金属音を立てるだけで
弾き返されてしまう。

「くそっ! くそっ!」

「こんな枷さえなければっ……くそっ!!」

吹き荒れた冷気が周囲を凍てつかせていく。

そして、視界が霞み、おぼろげになり……
テレビの電源を落としたかのように、ぷつりと途絶えた。

(回想終了)

鼎「今のは……奈岐の記憶……」

今の私達は繋がっているから……見えた?

でも、どうして今になって?

どうしてこのタイミングで?

鼎「っ!?」

突然、視界が戻り、私は炎を放つ剣に寄りかかる。

周囲を見渡し、ここが現在であることを認識していく。

どうして……奈岐の記憶が私に?

奈岐が力を本気で解放させたことと関係がある?

どちらにしても、あの記憶が確かなものなら、
中村さんの行動次第では……奈岐はきっと。

「……私がしっかりしないと」

奈岐がまた思い至らないように、
私が決着をつけないといけない。

想いと共にさらなる力が溢れ出す。

身体に付いた霜を一瞬で気化させ、
私の身体が熱に包まれる。

握った剣の刀身は赤く燃え、遠山先輩の鎌を
焼き切った時と同じぐらいに……違う、
それ以上の力を宿していた。

蒼い炎を解き放った中村さんが左手で大剣を振るう。

真琴「お前達……あの力、いったい何をした?」

鼎「……ごめん、それは答えられない」

真琴「なら、答えられないようなことをした――
そう解釈する」”

“炎が弾け飛び、正面から中村さんと切り結ぶ。

重なった刃が赤く燃え、中村さんの大剣を
徐々に切り裂いていく。

真琴「力負けしているっ……!」”

“「ようやく把握した……それが鬼と呼ばれる力か」

中村さんが刃こぼれした大剣を構え直す。”

T21-23, 鼎への想い/ T4-8, 鼎の優しさと強さと公平さ
T24-13, 変わる奈岐 / f13-10, 八弥子の力、境遇

“中村さんが大剣を地面に突き立て、
片手に炎を集束させ始める。

その行動は攻撃ではなくて――。

敗北を意味する力の解除だった。

鼎「えっ……?」

誰もが中村さんの右手に宿った星霊石に
視線を集中させる。

こんなにあっさりと負けを認めた……?

その疑問は次の瞬間に打ち砕かれる。

奈岐「まだ力を解除するなっ! 奴は左利きだ!」

奈岐の声を聞き、中村さんの左手に
視線を移した瞬間だった。

真琴「この一刀で終わりにする!」

踏み込む中村さんの手には、
いつか見た刀が握られている。

力を解除しての攻撃なんて、捨て身の一撃に等しい。

私が剣を振るえば、生身の中村さんは間違いなく――。

奈岐「鼎っ、何を躊躇しているっ!
それが奴の狙いだっ!!」

僅かに冷気を感じたかと思えば、
目の前に奈岐が滑り込んでくる。

片手に氷の刀を作り出し、
中村さんの一撃を受け止めた。

真琴「くっ鬼が邪魔するなっ!」

奈岐「邪魔をするのが鬼の役目だっ!」

生身と巫女の力では圧倒的な差があり、
中村さんの刀は、氷に両断されていく。

真琴「くっ……化け物めっ!」

諦めずに中村さんが星霊石を輝かせる。

八弥子「マコ、もうダメだって!
こんなのルール違反だよっ!」

八弥子さんの言う通り、一度でも力を解除すれば、
その時点で負けが確定するはずだ。

櫻井「中村さん、お止めなさいっ!
もう勝負はついたはずですっ!」

真琴「私の戦いはまだ終わっていないっ!」

蒼い炎が吹きあれ、再び巫女装束を纏い、
大剣を構え直す。

奈岐「利用されていることも知らぬ木偶が
戦いを望むかっ!」

奈岐が片手に握った氷の刀を振るう。

鼎「奈岐っ! もう試合は終わってるっ!」

八弥子「マコ! これ以上はダメだよっ!」

私達の制止も聞かず、二人は同時に地を蹴る。

奈岐「お前の信じた唯一も嘘だっ!
まやかしに過ぎないっ!」

真琴「鬼に何が分かるっ! 私はただ――」

中村さんの目の前で銀色の光が舞った。

弧を描いた奈岐の刀が、炎ごと中村さんの
大剣を真っ二つに切り落とす。

轟音を響かせて落ちる巨大な剣が地面を揺らした。

真琴「馬鹿な……幸魂の状態で私の剣を!?」

紡ぎ出す蒼い炎も次々と氷に固められ、
中村さんの退路を塞ぐ。

鼎「奈岐、もう充分だよっ! それ以上は――!」

八弥子「ナギっち、もうダメっ!!」

私と八弥子さんが止めに入ろうとした時、
冷気を伴った衝撃が走り、身体ごと吹き飛ばされる。

奈岐「邪魔をするなっ!!」

八弥子「ナギっち!? それだけはダメっ!」

無力にも草むらに転がった私とは違い、
八弥子さんが鎖を奈岐の足に放っていた。

奈岐「二度も私の道を阻むかっ!
お前に私の何が分かるっ!」

八弥子「その気持ちで誰かを傷つけたら、
心が麻痺しちゃう!」

「ナギっちには、そんな風になって欲しくないっ!」

奈岐「お前の感覚を押しつけるなっ!
血に縛られた獣風情がっ!!」

八弥子「ナギっち!!」

氷の刀が奈岐を繋ぎ止めていた鎖を断ち切った。

そして、奈岐が体勢を崩している中村さんへ向かう。

奈岐「中村真琴っ!! 人の命を奪う覚悟が
あるならば、その逆もあるべきだっ――
最期に、その意味を理解しろっ!」

真琴「くっ……母さんっ……!」

刃の真っ先が中村さんを捉えた。

震え上がるほど殺気が膨れあがり、
憎しみを籠めた刀が真っ直ぐに突き出されていく。

奈岐を止めるために私が声をあげ、誰かは中村さんの
名前を呼び、誰かは悲鳴をあげていた。

全てが一瞬のことのはずなのに、時間の流れが
止まったかのうように思える。

中村さんを庇うように走り込んだ影に気付いて、
私は声にならない声をあげるけど――
それは届かなくて。

奈岐「なっ……!?」

氷の刃が容易く身体を貫いていく。

真琴「そんな……」

刃から滴り落ちた血が、
奈岐の周囲に出来た氷を赤く染める。

奈岐「……ね、禰津?」

八弥子さんが身体に刺さった刀に手をかけ、
引き抜くと、さらに大量の血が零れ落ちていく。

八弥子「ナギっち……ダメだよ……
こんなこと……しちゃ……」

八弥子さんは血で赤く染まった腹部を押さえながら、
数歩、ふらふらと奈岐へ歩み寄る。

奈岐「な、何をしている……?
コイツは鼎の命を二度も……」

八弥子「それでも……ナギっちが、
こんなことしちゃ……ダメ……」

八弥子さんの膝が折れ、その場に倒れ込みそうに
なったところを駆け寄った奈岐が支える。

巫女の力の維持なんて出来るはずもなく、
八弥子さんが制服姿に戻ってしまう。

傷が塞がるはずもなく、
腹部から溢れる血は制服を赤く染める。

八弥子「ナギっち、優しいから……
気持ちが穢れに持って行かれる……」

奈岐「禰津……?」

八弥子「ヤヤなら……平気だから……
大丈夫……だから……」

奈岐の頬に伸ばそうとした八弥子さんの手が
力無く垂れ下がっていく。

奈岐「…………」

カランッと乾いた音を立てて、奈岐が刀を地面に落とす。

そして、動かなくなった八弥子さんの身体を支えたまま、
ただ無言で佇んでいる。

鼎「誰か……誰か手当を! すぐに病院に!」

慌てて声をあげると、止まっていた時間が突然
動き出していく。

学園長がすぐに救急車の手配をし、動ける人は
八弥子さんの止血に回り、車が来られるところまで
運ぼうとする。

そんな中、奈岐はただ呆然と佇み、
血に染まった自身の両手を見つめていた。”
脚本
(9-2-2 脚本)八弥子の存在の大きさ、
奈岐の鼎への想い、これまでにそれら二つが
骨身に染みている読み手にとって、
この場面は非常に強い力を持つ

⇒真琴の力の解除は、本戦第一戦での
縁子の前振りが活きている。
縁子は武器を失った後で力を解除し、鼎に降伏した。

故に、プレイヤーは予想の逆を突かれる事になる。
(真琴の性格を考慮すれば、予想可能ではあるが)
演技
演出
作画
補足
真琴“「お前は私の信じる現実が嘘ばかりだと言った」

「私はそれでも構わない。私にある希望は
ただ一つだけだ。それが真実であるなら、
他の何が嘘でも構わない」”

真琴“「くっ……母さんっ……!」”

⇒手段を選ばないという点を除けば、
真琴は鼎に良く似ている。一途な所や、
危機に際して母の名を口に出したりするなど

 


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